「小夜ちゃん、スパイニーを落っことす」の巻


 

img_6097どこの兄弟姉妹でもそうだろうが、10歳の小夜子の人生にとって、スパイニーの誕生は相当なインパクトを持つものだった。小夜子は私の不妊治療のこともよく理解していたし、妊娠がわかったとき、それはそれは嬉しそうだった。

 

妊娠中一緒にお風呂に入る時も、お腹にいつも優しく話しかけてくれて、そのせいかスパイニーは生まれてきてすぐ小夜子の声を認識したような気がする。スパイニーがお腹の中にいた時から、二人は切っても切り離せない姉弟になっていたのだ。

 

小夜子は私のステップドーターなので、小夜子とスパイニーはハーフシスター/ハーフブラザーの関係だ。日本語では「異母姉弟」。なんだかどちらの呼び方もよそよそしい感じがするし、日常生活で「この赤ちゃんは私のハーフブラザーよ」とか発言する場面もない。姉と弟には変わりない。

 

img_5318小夜子はスパイニーのお世話がとにかく大好き。おむつ替えからお風呂に入れるのまでなんでもやりたがる。最初はおむつ替えも一人でさせていいのか不安だったので、ヒッピー君に様子を見に行ってもらったら、ピシャリとドアを閉められたそう…プライド傷つけちゃったかな😅一度おむつ替えの最中に、スパイニーが小夜子のシャツにうんちを噴射したことがあったけど、それさえも小夜子にとってはエキサイティングな出来事だったよう。

 

そんなお姉ちゃんの小夜子がある朝、大失敗をした。カウチでいつものようにスパイニーを抱っこしてまったりしていた。朝ごはんの準備が出来て、小夜子がスパイニーを抱えたまま立ち上がった。

 

どすーん!

 

絨毯の上だったとは言え、すごい音がした。瞬間にスパイニーの大きな泣き声が響いた。”Oh, my god!  Oh, my god!”とうろたえる小夜子を横目に、私はスパイニーをさっと抱きかかえ、キッチンにいたヒッピー君のところへ。「小夜ちゃん、落としちゃった」と言って、二人でスパイニーの体をチェック。

 

あれ?てっきり私のそばにいると思っていた小夜子がいない。リビングにもいない。廊下の方を見ると、とぼ、とぼ、とこれ以上ない重い足取りでベッドルームの方に歩いていく小夜子が・・・後ろ姿ですぐにわかった。小夜ちゃん、号泣してる!!!

 

私はスパイニーを抱っこしたまま小夜子のところへ駆け寄った。「小夜ちゃん、スパイニーは大丈夫だよ。ほら、元気に泣いているのはいいことなんだよ。」と、涙が溢れて止まらない小夜子をハグした。「小夜ちゃんのペンギンのアイスパックを頭にあててあげようか」と言うと小夜子がそれをハンカチに包んで持ってきた。スパイニーはすっかりご機嫌で小夜ちゃんに笑顔を振りまいている。小夜子もやっと落ち着いた様子で、私もホッとした。

 

私も初めてのことで、ついつい小夜子のケアを忘れてしまった。あの場面で、すぐにヒッピー君のところへ行かずに、小夜子のそばにいてあげればよかった。痛い思いをしたのはスパイニーだけど、小夜子にとってもトラウマ的な出来事だったわけだから。だからこれは、小夜子の失敗談であると同時に、私の失敗談でもあるのだ。なんだか、その日は、そのことが頭から離れなかった。
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翌日の朝。

 

またいつもの光景。小夜子がカウチ椅子でスパイニーを抱っこしている。

 

小夜子:I’m sorry, Spiny, that I almost dropped you yesterday.(ごめんね、スパイニー、昨日はもうちょっと落っことすところだったね。)

 

ヒッピー君&私:……

 

さりげな〜く挿入されたalmostを私たちは聞き逃さなかった。

 

ヒッピー君:The history just got revised.(歴史が今、修正された。)。←ちょっとNスペ風😝

 

私:Sounds like it.(そのようだね。)

 

しばしの沈黙……

 

小夜子:OK…..I’m sorry that I dropped you, Spiny.(わかった。落っことしてごめん、スパイニー。)

 

なんか照れ臭そうに言う小夜子が愛おしくてたまらなかった。

 

これからもスパイニーを頼んだよ、小夜ちゃん!

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