マタニティヨガ・ポートランド版


ポートランド・サウスイースト地区でスタバより多いものとは?

私が住んでいるのはポートランドのサウスイースト地区。サウスイーストに腐るほどあるもの、あ、失礼。選ぶのに困るほどあるものとは、さて何でしょう。

それはヨガスタジオ。スタバなんかより、断然多い。

妊娠がわかった時、医者からは「運動は今までやっていたものは続けていいですよ」と言われた。うーん、ずっとやっていたテニスは続けたいけど、本当のところリスクはどうなのだろう・・・アメリカ人のテニス仲間は「私なんてお腹が目立つまでやってたよ」「した方ががむしろ体にいいよ」と言う。逆に日本人の友達は口を揃えて「絶対やめたほうがいいよ」「なんかあってからじゃ遅いよ」と言う。ネットでも妊娠中の運動についてちょっと調べたが、やはりアメリカの方が運動はむしろした方がよい、という声が多く、日本では、散歩やヨガはした方がよいが、それ以外は出来るだけ避けて安静に過ごすべきという意見が大半だった。

 

妊娠中の体重増加とセックスにおける日米の考え方の違い

ネット上の日米の意見で違いが顕著に見えたのは、妊娠中の運動に関してだけでなない。例えば妊娠中の体重増加に関しては

🇺🇸:最低10キロ増やす。20キロ以内に抑えればグッジョブ👍
🇯🇵:10キロ以上増だと母親失格😭

妊娠中のセックスに関しては

🇺🇸:安定期に入ったらやった方が夫婦のためにもよい
🇯🇵:赤ちゃんのこと本当に考えてる?

もちろん、双方の国で意見がすべて一致しているわけではないが、大まかな傾向としてはこのような具合だった。特に、高齢出産の場合は何事もより慎重に、というのが日本での傾向。アメリカに住んでいると、年齢のことをあまり話題にしないためか、自分が高齢出産ということを忘れてしまいそうだった。日本に住む家族や友達が「高齢出産がんばって」と繰り返し言うので、「あ、そうだ自分は高齢出産だった!」と認識することができたのであって、あんな風に言われていなければ、自分を過信して無理をしていたかもしれない。その時は内心「高齢、高齢うるさいなー😤」とも思ったけど、今ではありがたく思っている。

 

まずはヨガスタジオ探し

ということで、テニスに関しても、日本人の友達の言うとおり休むことにした。

そこで探し始めたのが、マタニティヨガ(Prenatal Yoga)をやっているヨガスタジオ。ネット検索するとたくさん出てきた。一番に上に出てきたところが、ちょうどうちから歩いて行ける場所にあり、雰囲気も良さそうだったので、試しに行ってみることにした。値段設定は高めだけど、初めての人用に最初の月はディスカウントがあるのも嬉しい。ただ、一回のセッションが一時間半。長い!マタニティヨガはスローペースだから1時間半もやるのだろうか?

私はヨガクラスの最中、よく気が散る。瞑想とか、自分の呼吸に集中することで無になること。それがすごく苦手だ。

だいたいまず横にいる人が気になりはじめる。あ、この人のヨガパンツかわいいなぁ。あ、そういえば同じようなヨガパンツを⚪︎⚪︎ちゃんも持ってたなぁ。最近会ってないなぁ。元気かな。さて、今晩の夕食は何にするかなぁ。ていうか、あと何分?げー、あと40分もあるじゃん。

という具合だ😥

それでも私はヨガに何回もトライしている。ヨガが好きなのではなく「ヨガをするというアイデア」が好きなのだ、ということにやっと気がつき始めた。

マタニティヨガはもしかしたら、普通のヨガと違うのかもしれないし、こんな私でもすごく好きになれるかも!という希望を持ちながら、例のスタジオに向かった。大好きなベイカリーLittle Tの横にそのスタジオがある。

 

自分だけお腹が小さいぞ!

中に入ると、フレンドリーな雰囲気の受付の人。横にはインストラクターの人もいて、私が「初めてサインアップしました」と伝えると、リストを見て「Reika?」と言ってくれた。少しだけ、緊張が緩んだ気がした。私の直後に入ってきた人も初めてと言っていて、初めての人が自分だけじゃないというだけでも心強い。

靴を脱いで、部屋に入る。天井がかなり高くて、板張りのツルツルの床で、壁の鏡の上には巨大な壁画がある。もう何人かの妊婦さんがヨガマットを敷いて、ストレッチをしたり、横の人とおしゃべりしたりしていた。

すぐに気がついたのは、みんなかなりお腹が大きい!私は当時、妊娠8週程度。外見は妊婦の雰囲気ゼロだ。パワフルな妊婦さんたちに囲まれて、なんだか急に居心地が悪くなる。始まりの時間が近づくと更に参加者が入ってくる。やはりみなお腹が大きい。

マタニティヨガって、妊娠週数がかなり進んでからやるものなの?妊娠初期は普通のヨガをするものなの?

いや、人それぞれなんだから、気にしない気にしない。

と、自分に言い聞かせながら、インストラクターを待つ。

クラス開始時間には部屋はいっぱいになっていた。隣の人との距離も近い。計30人くらいいる。インストラクターの人が入ってきて、「今日は多いわね」とびっくりした様子。「少なくともこの倍の人数がこの部屋にいるってことよね」と言って皆が笑った。なるほど、お腹の赤ちゃんを数えると、ってことね。でも私には笑う余裕がない。

 

ちょっとヒッピー風ヨガスタジオ

「じゃ、いつものように自己紹介から始めましょうか。」

えーーーーー!!!

ヨガで自己紹介するって初めてだぞ。ていうかヨガって一人で無になってやるものだから、周囲の人を知る必要は全くないし、むしろ知りたくない。シンプルにヨガだけやって帰りたい。なんでこんなヒッピーなの、皆さん。ヨガの終わりに隣の人とハグとかないよね?

と思っているうちに、自己紹介は始まる。

「名前と、今の妊娠週数、困っていることやシェアしたい情報があればなんでも。じゃ、こちらから」と私が座っていた方向の反対側をインストラクターが指した。よし、とりあえず他のみんながどんなことを言うのかを聞きながら自分の言うことを考えられるぞ。

「名前はエミリ。今25週です。」といった感じで皆さん流暢な英語で(当たり前か😅)自己紹介をしている。しかも一人一人がやたら長い。「旦那がすごく協力してくれるようになった」とか、「上の子に赤ちゃんのことを話した」とか、エピソードが出るわ出るわ。名前と週数だけ言って終わる人は皆無だ。

当の私はというと、彼女たちの妊娠週数が自分よりずっと先に進んでいることが気になって、みんなが話している有益情報も頭に入ってこないし、自分が何を話そうかも全然考えられない。

私、思い切り場違いなところに来ちゃったのかなぁ。

気づいたらもう隣の人が自己紹介をしていた。そして、自分の番がやってきてしまった。

「Reikaです。えーっと、妊娠してないように見えますが実際はしています!」

皆、笑っている。お、とりあえずツカミはオーケーかな。

「えーっと、今、8週ですが、ここに辿り着くまでに6年間かかりました。」

“Oh, my god.”

“Aw…”

驚嘆と同情が入り混じったような声がいっせいに上がる。あれ???みんな私のこと、なんだかすごく真剣に聞いてくれている?

“Congratulations, Reika!”

今度は皆が「おめでとう」と声をかけてくれた。

“Thanks.”

私は照れ臭そうにお礼を言って、次の人に促した。

なんだか、ドキドキと嬉しいのが入り混じって、顔が紅潮しているのが分かる。すーっと深呼吸をして、落ち着こうとしていると、ヨガクラスの本番が始まった。

 

想定外のヨガの効果

セッションが1時間半もあるのはこれが理由だとわかった。おそらくヨガ自体は1時間程度。

ヨガの間、やはり私は集中していない。あんなにお腹が大きいのに!と周りの人のすばらしいポーズに目を見張るばかりで、自分はインストラクターからポーズを何回か修正された😓今までやってきたヨガとの違いはというと、定番のポーズを無理なくできるように工夫がしてあったり、お産を少しでも楽にできることを意識した、マタニティヨガ独自のポーズも取り入れてあったりした。

そしてヨガクラスで私が一番好きな時間がやってきた。最後に必ずある、リラックスする時間だ。インストラクターがゆっくりと灯りを暗くしていき、音楽もリラクゼーションのものに変わった。お腹の大きい人ばかりなので、ブランケットやクッションを使って、各々が一番リラックス出来るような姿勢を取るように言われた。私はまだ普通に仰向けで大丈夫だ。

部屋が暗く、天井を見上げると、自分一人がそこにいるような気になるから不思議だ。クラスの始めに、思いがけずみんなから「おめでとう」と言ってもらえたこと。その時の気持ちがまた体に充満してくる。

不妊に悩んだ6年間は、やっぱり長かったな。辛かったな。その瞬間、急に涙が頬を伝って、止まらなくなる。妊娠できて、よかったな。素直にそう思った。今までは、妊娠は嬉しいのだけど、流産するかもしれないから、とか、今も妊娠できずに苦労している人はたくさんいるのだから、とか、色々な理由で手放しに喜んではいけないような気がしていた。でも、今日は、「嬉しい」という感情をマインドフルに感じられる。

クラスが終わって、帰り際にも、「本当によかったね」とか「おめでとう」とか個人的に声をかけてくれた人が3人いた。

最初に自己紹介があったときは帰ろうかと思ったくらいだったけど、ここはヨガスタジオであると同時に、妊婦同士が支え合えるコミュニティでもあるんだな、と気がづいた。予想もしなかった体験をした夜だった。来週もまたここに戻ってこよう。

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