アメリカで初宮参り


スパイニーは先週1歳の誕生日を迎えた。これまで大きな病気や怪我もなく無事に1回目の誕生日を迎えられて、支えてくれている家族や友達に感謝するばかりだ。

そしてもう一件、スパイニーの初宮参りで訪れたお宮様にも、おかげさまで1歳を迎えられました、と報告したい。

実は、私たちは初宮参りはここアメリカで済ませた。私たちが住むオレゴン州ポートランドから車で3時間半から4時間北上するとシアトルに着く。そこから更に1時間近く北上したところに、アメリカ椿大神社がある。

初めてこの神社を訪れたのは5年くらい前のことだ。この神社のことを日本人の友達から聞いて、ヒッピー君と小夜子の3人で訪れた。車で神社につながる道に入った途端、茂った森林で周辺の雰囲気がガラッと変わったのを覚えている。どこでもドアで日本へワープしたような、そんな感覚だった。車を降りて周辺を散策すると、マイナスイオンで心も体も清められていくような気になった。せせらぎの音に引き寄せられるように神社裏に流れる川に辿り着くと、そこはまた深い森林と違った雄大な雰囲気を味わえた。

あれから5年。我が家には新しいメンバーが加わった。スパイニーが生まれて100日を記念して、初宮参りで椿神社を再び訪れることにした。ポートランドから日帰りは運転が大変なので、前の晩に神社近くのエベレット市のホテルに宿泊し、翌日の朝に神社に向かうよう段取りをした。

初宮参りの申し込みはメールでできる。宮司さんの奥様と日時についてやりとりして、ホテルの予約なども済ませ、準備は万端かと思えたのだが。。。

行きの車の中で、神社からのメールが来ていることに気がついた。

「ご存知かとは思いますが、服装にご注意ください。」

との内容だった。ジーンズやTシャツ、素足などカジュアルなものは避けるように、との説明が丁寧にされていた。

なんだか嫌な予感。。。

まず自分が着ているものに注目。ジーンズと授乳用の胸が開くシャツ。かなりカジュアルだ。でも、神社訪問は明日だぞ。明日の服が肝心だ。スーツケースには何を詰めたっけな???あー、やっぱりジーンズと授乳用シャツだ😱

横の小夜子をチェック。かなりよれよれのTシャツに、両膝に大きな穴が開いたレギンズ。本人に聞くと明日用の着替えも似たようなレベルのものをスーツケースに詰めたそうな💀

運転席のヒッピー君をチェック。コットンパンツに黒のボタンダウンシャツ。着替えも同様らしい。一番引っかかりそうな人が一番まともな格好をしているではないか。

ヒッピー君はぎりぎりセーフとしても、私と小夜子は絶対にアウトだ。

「ごめん、神社にドレスコードがあるって知らなかったの。どこかで服を買っていかないといけない。」

「やったー!」と小夜子は喜んでいる。

一応、我が家にも一張羅とまではいかなくてもカジュアルでない服もあるのだ。パッキングのときにクローゼットを物色はしたのだが、授乳に向いている洋服がなくて「ま、いっか」くらいの感覚で普段着で行くことにしたのだった。それがドレスコードに引っかかると気づかされてかなり恥ずかしくなったが、時すでに遅しだ。ただ、神社の訪問直前ではなかっただけでも不幸中の幸いだった。

「日本だったら正装するの?」ヒッピー君が聞いた。

「うん。確かに赤ちゃんのお宮参りのとき、みんな正装するなぁ。」

「神聖な場所に行くんだから、カジュアルな格好だと失礼だというの当然といえば当然だよね。Reikaもすっかりアメリカ人になっちゃったねー。」運転席のヒッピー君がニヤニヤしながら言う。

「。。。」

返す言葉がない。産後でちょっと頭が回っていなかった?いや、そうじゃない。アメリカに住んでトータルで10年。日本だったら普通に気がつけることに自分が鈍感になっているのは、他にも感じることがあった。例えば、昔は小夜子が靴で椅子に上がったり、物を足で扱ったりすることに口を酸っぱくしてダメと言ってきた。最近では、あまりなんとも思わなくなってきていた。

大失敗してちょっとブルーになっていたが、タコマ市にある巨大ショッピングモールに着くとちょっと元気が出てきた。ドレスコードを満たすであろう服も無事に見つかったし、小夜子も可愛いワンピースとカーデガンを予定外に買ってもらえて喜んでいる。回転寿司屋さんもモールの中にあって、お腹も満たされた。スパイニーも初の長距離運転だが、しっかり休憩もできた。

本来ならシアトルで時間をつぶすはずだったのだが、予定外のショッピングのせいで直接エベレットのホテルに向かうことになった。ただ、ホテルに着いてからまたもアクシデントがあった。

ホテルの部屋に入ると、クイーンサイズのベッドが一つしかない😱予約したのはヒッピー君。予約メールを携帯でチェックしてみると、やはりクイーンサイズベッド一つの部屋を間違えて予約していたことがわかった。フロントに電話して部屋を変えてもらえるかかけあったが、満室で無理と断られた。

ヒッピー君は縦も横も結構デカい。うちら夫婦と小夜子、スパイニー全員が一緒に一つのベッドで寝るのはかなり無理がありそうだ。なんとか工夫して、ベッドを斜め方向に使って寝るのもやってみたが、ヒッピー君にとっては心地悪かったらしく、彼は仕方なく床で寝ることに。。。若い頃よくやっていたから気にしないそうだ。でも、5時間の運転が明日も待っているし、かわいそうだな、とは思ったけど、致し方ない😓

さて、翌日は予定どおりに出発!神社は5年前と変わらずやはり壮大な森林に囲まれていて、覚えていた通りの優雅さだった。

清め水で手を洗うときは、適当に洗っているヒッピー君に小夜子が「パパ、やり方が違うよ」とサインに書いてある手順通りに洗い方を指示😁スパイニーもちゃんと手を清めた👏

すると宮司さんと奥様が出迎えてくれた。宮司さんは白人のアメリカ人だが、日本語がとても上手だった。私たちを二階の部屋に通してくれて、そこで私たちの名前などを記入したり、お初穂料を収めたりした。日本人の友人が今回、弟さんが使っていたという大切な赤ちゃん用の着物をありがたいことに貸してくれていた。その結び方を私が全くわかってなかったので、奥様が丁寧に教えてくださった。

小夜子もトライ。私より様になっている😱

さて、儀式がいよいよ始まった。広い神殿まで降りると、太鼓の音が鳴り響く。ドンドンドン。私たちの入場に合わせて神主さんが叩いているのだ。だんだんと音が大きくなる。すごい迫力でスパイニーも目を見開いている。後から奥様に聞いたのだが、太鼓の音は赤ちゃんがお腹の中にいるときのママの心臓の音に似ているので、大抵の赤ちゃんは太鼓の音が好きなのだそうだ。スパイニーもそうだった。

儀式そのものも大変本格的で予想よりも遥かに厳格なものだった。祈祷の後、清酒が振舞われ、更にお食い初めの漆器のセットまでお土産で持たせて下さったのには、驚いた。この漆器を使って、後日お食い初めの儀式もすることができた。

儀式が終わった後、上の部屋で奥様が友達の着物を畳むのを手伝ってくださった。そのときに伺ったのは、宮司さんと結婚する前はオフィスレイディだったとのこと。結婚の際はご家族はさぞ驚かれたでしょう、と尋ねると、まず神主の嫁になることで驚かれ、しかもアメリカ人の神主と聞いて更に驚かれたことを話してくださった😊ユニークなご夫婦ならではの面白いエピソードを聞いてみたいものだ。

帰る前に、もう一つ大切なことがあった。3年くらい前のことだが、着物を貸してくれた同じ友達が、なかなか赤ちゃんができない私のためにこの椿神社で子宝のお守りを持って帰ってくれた。いつかこのお守りを自分で返しに来れたらなぁと思っていた。宮司さんに「やっと赤ちゃんを授かることができましたので」と言ってお守りを手渡した。すると宮司さんがお守りに向かって「グッジョブ!」とおっしゃったのかなりお茶目だった😊

お礼を言ってお別れした後も、私たちは神社の敷地内を自由に散策して、きれいな空気をたっぷり味わわせてもらった。私たちが神社を出発するのと、宮司さん夫婦のお出かけが重なってまた顔を合わせたのだが、宮司さんが如何にも宮司さんらしい着物から、今度は黄色のパンツ、白のシャツにトリルビーハットといういでたちに変わっていたのでびっくりした。おそらく街で見かけても、彼の職業を言い当てられる人はいないはずだ。

無事にスパイニーの初宮参りを終えられて安心した。アメリカにいながら、あの時間だけ日本に行ってきたようで、とても幸運に感じた。そして、時と場所を弁える日本の習慣を思い出させてくれた貴重な旅でもあった。

帰ってから神社での写真をいとこにLINEで送ったらすぐに返事があった。「お宮参りの服装がめっちゃカジュアル。さすがアメリカやね〜。」

ガーン😨まだまだカジュアルだったか。。。次また七五三で神社を訪れることになると思うけど、その時は今回の反省を踏まえてきちんと正装して行くぞー。

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