子供の好き嫌いはフランス式に治す?!


子供の好き嫌い

この悩みに全く無縁の人は、その幸運に気がつかないかもしれない。当事者にとってはとても深刻な問題。

我が息子スパイニー(現在1歳半)は、ありがたいことに好き嫌いなく与えた物はだいたい美味しそうに食べてくれる。。。今のところは。「昔は何でも食べていたのに⚪︎歳くらいから好き嫌いが増えた」、とか時々耳にするので、これからも何でも食べる子供のままいて欲しいと願うばかりだ。

私の職場でも、赤ちゃんの時は何でも嬉しそうに頬張っていた子が、プリスクールに上がってからパスタしか食べなくなったり、フルーツしか食べなくなったり、そんな子供を見かける。

では、子供たちの好き嫌い、治すにはどうすればいいのだろう。

こんな本を見つけた。

French Kids Eat Everything

written by Karen Le Billon
(日本語翻訳バージョンは『フランスの子どもはなんでも食べる〜好き嫌いしない子どもが育つ10のルール』)

というタイトルなのだけど、中身はそれ以上に奥が深い。フランス人にとって「食」とは何か、「食」はフランス人にとって文化であると同時におそらく人生そのものなのだということが伝わってきた。で、フランスに住みたくなった?と聞かれたら、うーんそれはちょっと💦という内容。

著者のカレンさんはカナダ人で、幼い二人の娘の偏食に悩まされているママ。夫のフィリップさんの祖国フランスに移住して1年、子供たちが何でも食べれるようになるまでの紆余曲折が自虐的に書いてあって、読んでいてクスクス笑ってしまった。

同時に、フランスと対比して、北米の食文化がとにかくボロカスに書いてあり(そして書いてある内容は事実)、痛快でおもしろいのだが、「私はすごい恐ろしい国で子供を育てているのだ」と心配にもなった😓ちょうど、数日前にアメリカ人の肥満度がすごいという記事を読んだばかりで、これは他人事ではない、と思ったのだった。

北米の悲惨な「食」の環境は置いておいて、この本を読んで一番強く感じたことは、「フランスと日本の食文化はとても似ている」ということ。

例えば、

⭐️買い物の仕方

フランス:少量ずつ買う。

アメリカ:巨大ショッピングカートいっぱいにまとめ買い。

⭐️学校給食

フランス:前菜、メイン、副菜、デザート、全部出てくる。みなが同じものを食べる。おいしくて、子供たちも大好き!

アメリカ:おいしくない。非健康的。何を食べるか自分で選べる。

⭐️食べ残し

フランス:出されたものは残さず食べる。例外認めず。

アメリカ:口に合わなかった?お腹いっぱい?残しても全然オッケー。

⭐️料理に費やす時間

フランス:もう一手間かけてより美味しく。

アメリカ:一手間でも多く省く。

これらの例だけでも、日本がフランスの食文化に近いことがわかる。

 

子供の好き嫌いはだいたい2歳くらいから始まるそうだ。

子供の好き嫌いに対する親の考え方

では、親が子供の好き嫌いに向き合う姿勢についてはどうだろうか。

この本に書かれているように、北米の育児で重要な要素となっていることは、子供の自立心を養うこと。それがアメリカ人の子供の偏った食生活に多大に影響していると著者は言っている。

確かに、アメリカの子供達は自分で自分が食べるものを決める機会を普通に与えられているなぁと、私も気がつくことがよくある。

例えば、あるアメリカ人の生徒(4歳)の自宅にお邪魔した時のこと。食事の時に、その子だけ違うメニューが用意されている。食べるテーブルもその子専用のテーブルだ。プレートには、野菜もちゃんとある。生のベイビーキャロットと、茹でたブロッコリー。

でも、その子は野菜を食べることを断固拒否。その子は保育園でも野菜を食べたがらない。この夜も、パスタのみ食べたいと言い張っている。ママとの少しの押し問答の後、だんだんグズリモードになってきたところで、ママは降参(私がいたからというのもあったかもしれないが)。結果その子はパスタのみを堪能。

また別の例は友人の子(同じくアメリカ人で5歳)で、その子はフルーツしか食べない。パパは育児に協力的とは言えず、ママが一人で頑張っている。ただ、ママはお料理があまり好きではないらしい。子供が野菜や豆類などのたんぱく質系を食べないことを気にはしつつも厳しくは言っていない。

この両家族の親の共通点は、子供の気持ちを汲み取ってあげる理解ある親である点。子供の意思決定権を尊重する親である点。そしてママはバリバリに仕事をして忙しく、子供との時間はあまりないという点。

この二人のママは私はとても素敵だと思っているし、育児の面で真似たいところもたくさんある。でも、フランスの感覚では、このママたちは「無責任な親」になってしまう。なぜなら、子供を好き嫌いなく育てることは親の責任であり、それはフランス人なら誰もが理解している、文字にされていない社会のルールとして確立しているから。それに、子供の野菜嫌いは将来的にその子が成人病にかかる確率をぐんと上げるのに、それを矯正せずに放っておくなんて!というのが、この本に書いてあるフランス人の親の考え方だ。

著者カレンさんも、まさしくこの例に挙げたアメリカ人の親のようなママだったよう。

フランクなアメリカ人

もう一つカレンさんが犯し(そうになっ)た間違いの例は、北米人のフランクさゆえのもの。

カレンさん家族がフランスに移住して初めて友人家族にディナーに呼ばれた時のこと。自分の子供達が偏食なので、ホストの家族に前もって電話で「娘たちは好き嫌いが激しいので、出された料理を食べないかもしれません」と前もって伝えようと夫のフィリップさんに相談。フィリップさんから「言語道断!」と一蹴されたそう。カレンさんにとっては、相手に正直に子供の偏食の事実を伝えることで、相手家族にその場で恥をかかせない為の気遣いのつもりだった。ただ、フランス人にとってこのアメリカ人のフランクさは全く感謝に値しないようだ。

この北米人のフランクなところは、私も最初躊躇したがだんだん慣れてきた。

例えば、同僚の家族を晩御飯に呼んだときのこと。「子供達はピザかサンドイッチしか食べないから子供達のものは買ってきます」と同僚から連絡が。ホストの私としては、子供達のものも何か用意してあげないと、役目を果たせていない気もする。ただ、同僚にとっては、それを前もって伝えることで、私に迷惑をかけたくないと気遣いゆえだったのだろう。

それから、アメリカ人はベジタリアンだけでなく乳製品や卵も食べないビーガン、小麦を食べないグルテンフリーの人、と色々な「人種」がいる。食物アレルギーなら仕方ないが、個人の信条としてこうした食べ物に制約を持っている人も、目の前に出された食べ物に全く手をつけられない、という状況は大いにある。もし、晩御飯に呼んだゲストがビーガンであることを知らず、用意した食事のすべてにお肉や卵、乳製品を使っていれば、その人は食事中何も食べられないことになる。その状況を避けるために、私は最近は必ず食事に招待した人には食べられない物があるかどうか聞くようにしている。そして向こうからそれを伝えてくる人もいる。

ただ、ビーガンの人は、もし自分が何も食べられない状況になっても、自分で選んでそうしているのだから、そのことで目くじらを立てたりはしない。

一度私は大失敗をしたことがある。食べ物持ち寄りバースデーパーティーで私はデザート担当だったのだが、バースデーの本人がビーガンというのを知っていたので、乳製品を使わないものを作っていった。でもその人から聞かれてハッとした。

「これ、ハチミツが入ってる?」

「入ってるよ。」

「あ、じゃ食べられないわ。私はハチミツも食べないビーガンだから。」

がーん😱確かにハチミツも生産過程に蜂という動物が関わっているが、考えてもいなかった。ビーガンにはハチミツオッケー🐝⭕️派とハチミツダメ🐝❌派がいるそうだ。肝心のバースデーガールに自分が作ったものが食べてもらえず私はとても気が悪かった。その本人は「慣れっこだから全然気にしないで!」と言ってくれたけど。

アメリカでは「個」が尊重されるべきという考えが浸透している。一人だけ周りと異なる考え方や選択をしても、それは自由。その代わりその行為に責任を持つ。

この本を読む限り、この点でもフランスと日本とよく似ているなと思う。給食はみな同じものを食べる。ディナーでも同じものを食べる。アメリカは選択肢の多いことを重視するが、フランスはそうではない。いいものは一つあればいい。確かに、選択肢がいくら多くても、それが質の悪いものばかりなら意味がない。

日本で買ってきた離乳食。こういうパッケージものをフランス人はあまり好まないのだろうなぁ。

好き嫌いを治す10のルール

では、実際に子供の好き嫌いを治すにはどうすればいいのだろう。

この本に書いてあった10個のルールをここで紹介しておこう。

#1:保護者の方:子供達の食事に関する教育はあなたの仕事です。

フランス人にとって、好き嫌いなく食べる子供を育てるということは、北米人の親のトイレトレーニングとか読み書きを子供に教えることに対する考えと似ているかもしれないと著者は言っている。何でも食べることは生きていく上で基礎中の基礎項目ということだ。

#2:食べ物はおしゃぶりでも、気を紛らわせるものでも、おもちゃでも、賄賂でも、褒美でもなければ、お行儀の代用でもない。

つまり、感情と食べることがリンクするのを避ける。例えば、ぐずったらすぐに食べ物をあげる、言うことを聞かせるため甘いもので釣る、悪いことをしたので食事を抜く、といったパターンを作らない。

#3:親が食事メニューをスケジュールする。子供達は大人が食べるものを食べる。代わりのもの、すぐに作れるものは避ける。

上にも書いたが、アメリカでは自宅で「子供専用メニュー」がよく出るのを見かける。子供達だけ早く食べたりもする。フランスの晩御飯は7時以降と、アメリカより遅め。その代わり家族みなが一緒に食べる。

#4:食べ物は社交性のもの。家族と食べる食事はテーブルで一緒に食べる。気を散らせるものは排除。

テレビももちろんOFF。

#5:虹の全部の色の野菜を食べよう。同じ主食を食べるのは1週間で一回まで。

「今日は何色の野菜を食べた」とか、子供達とゲームにしてもおもしろいかも。

#6:好き嫌いの多い子には「好きにならなくてもいいよ。でも食べてみないといけないよ。」

子供に初めてのものを食べさせて、子供が「好きじゃない」と言うと、すぐに「この子は⚪︎⚪︎が苦手」と結論していないだろうか?フランスでは子供が本当にそれが嫌いかどうか判断するまでに最低7回はトライさせるそう。「嫌い」と思っているのは、実はその味に慣れていないだけのことが多いからだそうだ。

#7:おやつを限定する。理想的には1日1回(最大で2回)。食事までの1時間以内は避ける。

間食が大好きな北米人。そこは日本人女子も負けていないかも😮フランスの子供は4時頃におやつを食べるが、重要なのはフランスのおやつはスナック菓子ではないということ。この本に出てくるおやつは、焼きたてのバゲットのスライスに板チョコを載せたものとか、手作りにブルーベリーマフィンとか。羨ましいな、フランスの子供達。

#8:スローフードはハッピーフード。

北米人は一日にスケジュール(例えば子供の習い事)を詰め込みすぎて、料理に費やす時間がないのだそう。そこは日本も似ているのかも。それでもちゃんとしたご飯が出てくる日本の食卓はさすが。

#9:本物の、手作りの食べ物をなるべく食べる。トリートは特別な場合にとっておく。(加工食品は「本物」の食べ物に含めない。)

トリートはつまりデザートのこと。私も食事の後に何かしらの甘いものを食べる習慣を辞めたいな。

#10(黄金ルール):食べることは喜びでありストレスではない。食べ物のルールは、厳しい制約としてではなく習慣やルーティンとして捉えること。時にはルールを緩めてオッケー👍

親がルールにがんじがらめになっていると、そのストレスは子供に伝わって逆効果になってしまう。うまくいかない日もある。笑顔とユーモアも忘れないで、ということかな😊

最後に

今年6月に私のステップ娘の小夜子(11歳)がパリに学校のホームステイに行った時のことなのだが、ちょうどその頃この本を読んでいた私は、内容をいちいち小夜子に伝えていた。そしたらだんだんホームステイが不安になってきたよう。フランス人の子は肉類、魚介類、臭いチーズ、エスカルゴなどの珍味系も喜んで食べると書いてあるが、小夜子は野菜と果物が好きで、魚介類が大の苦手。滞在先で出されたものを無理して美味しそうに食べなければいけないのかと心配になったようだ。だから、私は「小夜ちゃんはアメリカ人だから、フランスの子供のように振る舞うことを求められないと思うよ」とは伝えていた。

2週間の滞在を無事に終えてポートランド空港で元気な姿を現した小夜子。第一声が

「『フランスの子どもは何でも食べる』はウソだったよ!」

「へ?」

聞くところによると、小夜子のホストファミリーの食卓ではお肉ばかりで野菜がほぼ出なかったらしい。そして夕食時の飲み物がスプライト。テレビもつけっぱなし。一緒に参加した別の友達は、週末のランチでホストファミリーが連れて行ってくれた先はマクドナルドだったそうだ。

「えー?!本に書いてあることとぜっんぜん違うじゃん!!」

フランス人も誰もが完璧ではないってことなのかな。ちょっとだけおフランスに親近感湧いた〜😁

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